2017年6月9日に「未来投資戦略2017」が閣議決定されたが、その内容に「フィンテック(FinTech)」としてキャッシュレス政策も盛り込まれている。2018年2月時点におけるキャッシュレス政策の内容を閣議決定から簡略的に紹介していくので、気になる方は参考にしてみてほしい。
目次
1. FinTechとは?
昨年の閣議決定において「フィンテック」としてキャッシュレス政策の概要が打ち出されているが、フィンテックというのは「Finance Technology」の略語である。
フィンテックは造語や略語として様々なシーンで使われるため、この言葉を使う場面で意味合いが異なる。一般的には「ITの進化と金融」という意味で使うことが多いが、未来投資戦略では以下のような内容だ。
- 日本は先進国より現金取引が多い
- フィンテックによって利用者の金融関連の利便性などが向上する
- フィンテックによって企業の資金調達や生産性などが向上する
この閣議決定におけるフィンテックは、ブロックチェーンの国際標準化に向けた実験不足、企業のフィンテック活用の課題など、非常に内容が多い。その1つに「キャッシュレス化の推進」があり、先進国に比べてキャッシュレス化が十分ではないことが課題とされている。
1-1. キャッシュレス化の課題と主な取り組み
キャッシュレス化の推進における課題は、キャッシュレス化が思うように進んでいない現状からも、キャッシュレス決済に関する安全性や利便性などを底上げしていき、販売機会を増やすことが重要とされている。
今後、以下のような内容に取り組むようだ。
- レシートの電子化
- 海外発行カード対応のATM設置
- 加盟店の書面交付義務の緩和
- 加盟店のコスト削減
- 消費者の利便性の向上
上記の中でも「海外カード対応ATMの設置」は、2018年内にメガバンクの全ATMの殆どを整備するようなので、日頃の生活でも実感できるキャッシュレス政策となりそうだ。
今回紹介した未来投資戦略2017については、首相官邸から「日本経済再生本部」で確認できるので、気になる方はチェックしておこう。
2. 日本のキャッシュレスの方向性
さて、続いて具体的なキャッシュレス政策の内容や現状について、経済産業省の「2017年12月14日・キャッシュレス研究会の方向性」から見ていこう。
- キャッシュレス化の意義
- キャッシュレス推進の経緯
- イベントに向けた早急な対策
- キャッシュレス決済の課題
- 国内キャッシュレス比率20%
今回紹介する内容以外にも「クレジットカードデータ利用に係るAPI連携の討論会」など、キャッシュレス関連の情報は「経済産業省」で確認できる。
2-1. キャッシュレス化の意義
引用元:経済産業省
キャッシュレス化の意義では、消費者と事業者の双方におけるメリットが述べられているが、なかなか思い通りにキャッシュレス化が進まない理由は「現金で良くない?」という概念を超えるほどの魅力を伝えられていないからだろう。
経済産業省が観光地や商店街を対象にした「キャッシュレス決済に関するアンケート」でも、「キャッシュレス決済の仕組みが分からない」や「導入コストが気になる」など、キャッシュレス化が進まない答えが明確に出ているのが印象的だった。
2-2. キャッシュレス推進の経緯
引用元:経済産業省
そもそも、キャッシュレス推進というのは「2020年の東京オリンピック・パラリンピック」までにある程度はキャッシュレス化を実現しておきたいという目標が根底にあり、未来投資戦略2017の閣議決定では「キャッシュレス決済の比率を4割まで高める」ことが目標のようだ。
2-3. イベントに向けた早急な対策
引用元:経済産業省
2020年のビッグイベントを1つの目標にしているのは、「2019年・ラグビーワールドカップ」や「2025年・大阪博覧会」と前後に注目度の高いイベントが控えていることも影響していそうだ。
「2027年にキャッシュレス決済40%」という目標は、普通にFinTechは嫌でも進化するであろうことから近い数字は達成できているような気がする。
一般的にも「LINE」がメジャーなツールとして普及しているように「Apple Pay」のようなアプリが増えていくと目標達成は早そうだ。また、ネット社会を背景にすると「通販サイト=カードが便利」という状況からも、完全に現金主義という人は少ないのではないだろうか。
しかしながら、カードを持っている人でも街中は何故か現金で払う人が多く、その点を解消するためにはキャッシュレス決済を促せるようなインパクトのある起爆剤が必要かもしれない。
2-4. キャッシュレス決済の課題
引用元:経済産業省
国内では、「支払い手段」として便利に感じるのは通販サイトだろう。街中では、別にカードがなくても困ることは一切ない。
やはり、キャッシュレス決済はATM手数料を軽減できるといったメリットのように、付加価値を得られることに魅力がある。また、それを長期継続すると塵も積もれば理論でお得さが倍増していくため、その認識を持つ人が増えなければキャッシュレス化は難しいのかもしれない。
2-5. 国内キャッシュレス比率20%
引用元:経済産業省
2016年時点では、キャッシュレス比率が20%と公表されているが、40%に持っていくためにはそれぞれの需要を2倍にしなければならない。
電子マネーやデビットカードは革新的なサービスを導入しない限り、クレジットカードと競える水準まで需要が伸びることはなさそうだ。やはり、機能性やスペックなどを総評してもクレジットカードはオールマイティーな性能がある。
キャッシュレスツールの新たな担い手となりそうなビットコインも、結局のところは未知数である。ビッグカメラなどで導入が進んでいるが、「ビットコインとは何か?仮想通貨とは?」という認識がまだまだ追いついていない印象が強い。
まとめ
2017年の閣議決定によって着実にキャッシュレス化は進みそうだ。
すでにマイナンバーに自治体ポイントが実装されて「自治体ポイントナビ」で運用が開始されている。
キャッシュレス化の恩恵から個人番号カードの実用性が高くなったのは嬉しい点であり、今後も新たな機能が実装されることに期待したい。
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