日本はすでにキャッシュレス社会!今後は決済比率が課題・・・2019年の消費税増税で改善なるか?

日本のキャッシュレス化はカードの発行枚数や利用状況からみると、キャッシュレス先進国と同じような水準だ。しかし、それでも諸外国に比べてキッシュレス化が遅れているといわれるのは、決済比率が低いからだ。2019年の消費税増税に合わせたポイント還元の施策によって、どこまでキャッシュレス比率が改善されるのかに注目したい。

1. キャッシュレス化とは?

キャッシュレス社会は、現金よりもカード決済が普及している社会のことだ。

そうした社会を作り上げることをキャッシュレス化といい、日本は数年前から政策としてキャッシュレス化に取り組んでいる。

国がキャッシュレス化に真剣な理由は、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるからだ。

カード決済に慣れている外国人が日本に多くやってくるため、それまでにキャッシュレス社会を作り上げておきたいという狙いがある。

1-1. キャッシュレス社会の基準は?

「日本がキャッシュレス社会になった」と、判断するための明確な基準は特にない。

カードの発行枚数を軸にすると日本はすでにキャッシュレス社会だし、決済比率を軸にするとキャッシュレス社会とは言えない。

日本政府は未来投資戦略2017で「キャッシュレス比率40%」を目標に掲げているため、これを達成できれば日本政府は「日本はすでにキャッシュレス社会」と認めてくれるのだろうと思われる。

1-2. 2019年の消費税増税でポイント還元が実行される理由

2019年に消費税が8%から10%に引き上げられるが、緩和策としてポイント還元5%が表明された。

2018年11月30日時点では、「すべてのカードが5%分ポイント還元率が上がるのか?」や「そのポイントは各社のポイントプログラムなのか?」など、不明点が多い。

しかし、国民にとってこの緩和策は無いより有るほうが良いといった感じで、賛否両論ではあるがカードを使うほうがお得であることは間違いなさそうだ。

消費税増税に伴ってポイント還元5%を実行するのは、思い通りにキャッシュレス政策が進んでいないからだ。

2019年に消費税が10%に増税され、その翌年にはキャッシュレス政策において1つの目標としている東京オリンピック・パラリンピックが開催される。

タイミング的にもキャッシュレス化を加速させる良い機会なのは明白だろう。

2. 日本は諸外国に比べてキャッシュレス化が遅れている?

引用元:日本クレジット協会

日本クレジット協会」が公表している「日本のクレジット統計・2017年(平成29年)版」から、日本と世界のキャッシュレス社会の比較を見てみよう。

日本のクレジットカード発行枚数は「約2億7,200万枚」で、アメリカや中国に次いで第3位だ。

日本のデビットカードの発行枚数は「約4億2,200万枚」で、中国やインドに次いで第3位だ。

キャッシュレス先進国といわれるアメリカやスウェーデンと比較しても、日本のクレジットカードやデビットカードの発行枚数はキャッシュレス社会といってもいい数字だが、それでも日本が世界に比べてキャッシュレス化に遅れていると言われるのは決済比率が低いからだ。

日本の決済比率は「約20%」で、アメリカの「46%」やスウェーデンの「51.8%」に比べると、半分程度の決済比率に留まっている。

未来投資戦略2017では「キャッシュレス比率を20%から40%へ引き上げる」を目標にしているが、確かに40%まで決済比率が高まればようやくキャッシュレス先進国の仲間入りを果たせそうだ。

2-1. クレジットカードの発行枚数は増加傾向

引用元:日本クレジット協会

2014年から2017年までのクレジットカードの発行枚数は増加傾向にある。

家族カードや法人カードも僅かながら増加しており、世界と比較した日本のクレジットカード発行枚数からしても、キャッシュレス社会に向けて発行枚数は問題なさそうだ。

2-2. クレジットカードの利用状況も増加傾向

引用元:日本クレジット協会

クレジットカードのショッピング利用状況も、発行枚数と同じく増加傾向にある。

2014年の「約40兆円」から2017年には「約51兆円」まで増加しており、クレジットカードの利用状況はこのまま上昇推移を続けそうな雰囲気がある。

2-3. 電子マネーの利用状況も増加傾向

引用元:日本クレジット協会

一般的にクレジットカードを使わない人でも電子マネーは使うという人は多い印象だが、電子マネーも発行枚数や利用状況は増加傾向だ。

通勤や通学で交通系ICが普及しているため、明確な用途があることからも電子マネーは大きく減少傾向になることはなさそうだ。

2-4. デビットカードは需要より決済比率が課題

引用元:日本クレジット協会

日本のデビットカードの発行枚数は「約4億2,200万枚」で世界第3位だが、決済比率が「0.1%」とワースト1位だ。

つまり、これは「デビットカードを持っている人は多いけれど、使っている人がほぼいない」という状況だ。

デビットカードの発行枚数が多い理由はJ-Debitも含まれているからだと思われる。

J-Debitは申し込みをしなくてもほぼすべての銀行においてキャッシュカードに自動搭載されているため、実は殆どの人はデビットカードを持っている。

2014年から2016年までの利用状況推移では、J-Debitが減少傾向でブランドデビットが増加傾向にあり、これはキャッシュレス化に向けて良い兆しだ。

今後、2019年の消費税増税に向けてブランドデビットの需要は急激に高まる可能性があり、その理由は「15歳や16歳以上で審査なしで作れる」や「ポイント還元率がクレジットカードと同じ水準」などが挙げられる。

逆にJ-Debitはブランドデビットよりも優れた点がなく、このまま減少傾向を辿りそうだ。

現にスーパー等のレジで現金を引き出せる「J-Debit・キャッシュアウトサービス」が普及しておらず、海外や通販サイトで使えないという利便性の無さもさらに認知が広がるだろう。

世界と日本の決済比率を40%に引き上げるためにも、デビットカードの「0.1%」を改善することに努力するのは高い効果を見込めそうだ。

3. 決済比率が伸びない理由は?

日本はカードの発行枚数や利用状況は増加傾向にあるため、あとは決済比率を改善できればキャッシュレス社会が出来上がる。

決済比率が伸びないのは「偽札などの事件が少なく、現金への信頼が高い」や「加盟店になるための手数料が高いため、個人店などではカードを使えないお店が多い」などが主な理由とされている。

3-1. 手数料の引き下げを要請して加盟店増加を狙う

日本政府は、2019年の消費税増加においてポイント還元を実施する予定だが、その際にカード会社に加盟店になるときに発生する手数料の引き下げを要請するようだ。

キャッシュレス政策においてもこうした内容があったように思うが、「実際にカード会社が協力してくれるのか?」や「いくらほど手数料が安くなるのか?」など、不明点が多い。

お店側としては「加盟店になる方がメリットが高いことは承知だが、コストが高すぎてカード決済導入に踏み切れない」という本音を持っている方が殆どだろう。

商店街などを中心にどこまで加盟店が増えるのかに注目しておきたい。

3-2. 消費税増税のポイント還元で決済比率は改善される

今の時点では、消費税10%に対してポイント還元を行う政策内容は明確に決まっていないが、キャッシュレス決済に対して還元を行うなら現金を使う人は減るだろう。

例えば、「消費税10%」で「5%のポイント還元」という状況で1,000円の買い物をした場合、現金は税込みで「1,100円」だがキャッシュレス決済は5%が還元されるので「1,100円」-「50円還元」=「1,050円」となる。

当初は「2%のポイント還元」といわれていて「5%のポイント還元」が表明され、最終的に何に対して何%が還元されるのかもわからないが、キャッシュレス決済の方がお得になるなら決済比率は少なからず改善されるだろう。

3-3. 心理的な要素や知識の広がりも欠かせない

デビットカードの決済比率が極端に悪いのは、J-Debitにほぼ利便性がないことから「デビットカードは使えない」というイメージが強いからだと思う。

実際、ブランドデビットは優秀なカードを作ればクレジットカードのポイント還元率の平均とされる0.5%前後を超えるし、審査がないことからも欧米のようにキャッシュレス決済の主役になってもおかしくない。

例えば、「楽天デビットカードJCB」はポイント還元率が常設1.0%。楽天市場で使うと2.0%に上がり、平凡なクレジットカードよりも優秀だ。「ファミデビ」はファミリーマートで2.0%や3.0%と高還元率を実現でき、こちらもファミマ専用として作っておくだけでも年間のポイント回収はかなり高い。

このように心理的要素やカードに対する知識の広がりも、決済比率を高めていくためには必要かもしれない。

4. まとめ

日本はカードの発行枚数や利用状況からみるとキャッシュレス先進国と大きな差はなく、すでにキャッシュレス社会である。

しかし、決済比率は諸外国に比べて大きく劣り、特にデビットカードの決済比率が極度に低い。

2019年の消費税増税において本当にポイント還元が実行されるなら、カードを持っていない人は何かしらのカードを作ろうと思うだろう。

それによって、カード所持者やカード利用者の増加が見込まれ、キャッシュレス比率が改善されそうだ。

また、その際には「審査がない」や「ポイント還元率が高い」など、ブランドデビットが再評価されたり認知され始めることで、デビットカードの決済比率が大きく改善される可能性がある。

何はともあれ、日本のキャッシュレス化の行方は、日本政府の増税に合わせたキャッシュレス政策の具体的な内容次第で大きな変化がありそうだ。

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