国の「キャッシュレス決済推進」からも加盟店になるべき風潮があるが、導入にあたって初期費用や手数料など不明な点が多くて悩んでいる方は多いのではないだろうか。今回は飲食店で6大ブランドに加盟する際の初期費用などを紹介するので、1つの参考にしてみてほしい。
目次
1. 6大ブランドそれぞれの申込先
加盟店になるためには好きなブランドを選んで申し込みを行う必要があり、審査を終えると導入開始となる。導入までに端末機の郵送など色々と手続きがあるため、大よそ1ヶ月ほどを見ておきたい。
- VISA:申込先は「三井住友カード株式会社」や「楽天カード株式会社」など計14社
- Master Card:申込先は「三井住友カード株式会社」や「楽天カード株式会社」など計10社
- JCB:申込先はJCB
- American Express:申込先はJCB
- ダイナースクラブ:申込先はJCB
- 銀聯:申込先はVISAやMaster Cardの申込先、あるいはJCB
上記のようにブランドによって申し込み先が異なるので、まずはここを整理して覚えておこう。
1-1. VISAの申込先は14ある
VISAの申込先は「Visa加盟店契約会社」で確認できるので、各社を比較したい場合に活用しよう。
2018年2月時点では、合計で14社の申込先がある。
どこから申し込むのかによって手数料の違いなどがあるため、ランニングコストを試算したい場合はすべての会社へ問い合わせて比較検討しておく方が良いだろう。
1-2. Master Cardの申込先は10ある
Master Cardの申込先は「Master Cardアクワイアラー・一覧」で確認できるので、こちらも比較検討したい場合に活用しよう。
現時点では10社が用意されているので、VISAと同様に比較しておく方が良いだろう。
1-3. JCBの申込先はJCB
JCBの申込先は「JCB新規加盟の案内」だ。
また、JCBは以下のブランドがセットになっているため、他のブランドに対応したくないという希望を出さない限り、JCBに申し込みをすると必然的に4つのブランドに対応できるシステムだ。
- JCB
- American Express
- ダイナースクラブ
- ディスカバー
費用についても4つのブランドに対応しているからといって、オプション料から追加費用が発生することもない。
1-4. アメックスの申込先はJCB
アメックスの申込先は、アメックス公式ではなくJCBとなる。実際に問い合わせてみたが、業種にかかわらずJCBから申し込むことを指示される。
ついでにJCB提携ブランドにまつわる謎を解消するために、以下のような質問をしてみた。
私「JCBマークを外してアメックスマークだけを表示し、JCBカードの決済に対応してもよろしいでしょうか?」
担当者「JCBさんからご了承は頂けないかと思いますが、まぁ・・・契約内容としては・・・そうですね・・・可能となります。」
こんな質問をされることもないことから終始大笑いを頂いたが、つまりJCBと提携しているブランドはJCBマークのあるお店で決済できるという都市伝説は本当だ。
1-5. ダイナースクラブの申込先はJCB
ダイナースクラブの申込先は、ダイナース公式ではなくJCBとなる。
こちらも実際に問い合わせてみたが、現時点では直接契約は受け付けてないと明言された。
ダイナースクラブの加盟店を希望するなら、JCBから申し込もう。
1-6. 銀聯の申込先は主に3つ
銀聯の申込先は「VISAの申込先」・「Master Cardの申込先」・「JCB」の3つが選択肢となる。
銀聯ブランドはオプション的な取り扱いとなっており、銀聯決済が可能な端末を導入しなければならない。
2. 6大ブランドそれぞれの費用
加盟店の申し込みに当たって必ず聞かれるのは「業種」だ。業種によって売り上げの何%が手数料となるのか異なる。また、加盟店契約で発生する費用は基本的に以下の3つだ。
- 加盟料:0円~3,000円
- 決済端末機:40,000円~80,000円
- 手数料:5%~7%
上記の中で初期費用となるのが「加盟料」+「決済端末機」だ。決済端末機は初期プランに無料付帯されているのではなく、導入にあたって40,000円~80,000円の費用が掛かる。
手数料というのは、カード決済を対象にお店の売り上げの5%~7%がランニングコストとして発生する。これは100円の買い物であっても発生するため、キャッシュレス決済を導入しないお店の心情が良く分かる。
さて、今回は「飲食店」で加盟店契約する場合の費用を以下の2つに問い合わせた。
- 三井住友カード株式会社:「VISA」、「Master Card」、「銀聯」
- JCB:「JCB」、「American Express」、「ダイナースクラブ」、「銀聯」、「ディスカバー」
まず、VISAとMaster Cardの加盟店になるなら「三井住友VISA株式会社」では、この2ブランドがセットパックになっている。次に、JCBでは上記で紹介したように4ブランドがセットになっている。つまり、銀聯をオプションで導入することを踏まえると、この2つの申込先だけで「6大ブランド」+「ディスカバー」に対応できるようになる。
ディスカバーについては完全に海外からの観光客向けの対策なので、そこまで気にする必要はない。
2-1. VISAとMaster Cardの導入コスト
「三井住友VISA株式会社」では、VISAとMaster Cardがセットになっているため、ここへ申し込みをするだけで国際ブランドの2トップを抑えられる。
- 加盟料:3,000円
- 決済端末機:40,000円~80,000円
- 手数料:飲食店は5%だが業務内容によって7%
初期費用の総額は、一番安い決済端末機を導入した場合なら「加盟料3,000円」+「決済端末機40,000円」=「43,000円」でVISAとMaster Cardを導入できる。
銀聯はオプション扱いとなっており、銀聯を追加することに費用は発生しないが、専用の決済端末機が必要となる。そのため、電子マネーやPiTaPaなど、他の支払方法の対応も含めて決済端末機を選ぶようにしよう。
手数料は同じ飲食でも業務内容によって手数料が異なるが、創作料理やバーなど一般的な飲食店は基本的に5%に設定されている。案内では5%~7%を繰り返し伝えられたので、大よそこの範囲からランニングコストが掛かることを想定しておくと良いだろう。
また、分割2回払いやリボ払いなど、様々な支払方法に対応したい場合でも別途費用が発生することはない。無料で契約内容に追加することができるので、お店の事情としてボーナス払いなどに対応したくないというケースを除けば、すべての支払方法に対応しておく方が取りこぼすことが少ないだろう。
ちなみにJデビットについては2.5%の手数料が設定されており、この数字を見るとJデビットが普及しない理由が良く分かる。
2-2. JCB+3ブランドの導入コスト
「JCB」は、JCBとアメックスとダイナースクラブとディスカバーがセットになっており、これが標準プランなので4ブランドだからといってコストが高く付くことはない。
- 加盟料:無料
- 決済端末機:80,000円
- 手数料:飲食店は6%
JCBは加盟料が無料なので、初期費用は決済端末機の80,000円だけである。JCBも決済端末機はいくつかのランナップがあるようだが、ホームページでも紹介されている「JETシリーズ」が約80,000円前後という案内だ。
手数料は売り上げの6%になっており、JCBギフトカードなどに対応した場合も同様に6%の手数料は変わらない。また、銀聯を希望する場合は端末機の設定費用として5,000円が必要となる。この辺りは、「何に対応したいのか?」を考えながらコストを試算していくのが良いだろう。
リボ払いやボーナス払いなど支払方法のバリエーションによって費用が追加で発生することはないが、業種によって利用可能な支払方法が異なる。
街中でも少額のお店ではボーナス払いを利用できないのと同じように、申し込み時は自社の業種で利用できる支払方法をしっかりと確認しておこう。
3. 決済端末機と手数料のランニングコストが重い・・・
加盟店契約の費用はとてもシンプルだが、初期費用については決済端末機が高く、導入後は売り上げに対する手数料がランニングコストとして重く感じる。
また、費用以外にもキャッシュレス決済の理解度が低い状態では、なかなかスムーズに導入を決断できないのは加盟店契約の内容からも想像できる。
電子マネーを筆頭にオプションが多すぎるので、基礎知識を身に着けるだけでもかなり時間を取られるだろう。
しかし、日本でビッグイベントが開催されると世界中から多くの観光客がやってくる。その日に向けて導入を検討しているなら、早期導入からトラブルも含めて慣れることが大切かもしれない。
まとめ
キャッシュレス決済を導入するかどうかで迷うなら、基本的にランニングコストとメリットを天秤にかけて考えることが大切だ。
集客率の高いお店では、ブランドが公表しているデータのように売り上げが伸びるケースが多いだろう。
また、今の時点でさほどメリットを感じないのであれば、国のキャッシュレス政策の成果を見ながら判断していくのも賢い方法だ。
キャッシュレス化が進むなら加盟店になる方が恩恵を得やすいだろうし、現状が変わらないようであれば急ぐ必要もない。
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